この記事では、隊員の知識獲得や気分転換をサポートするため、電子書籍について次の内容を説明します。
- スペースの制約や転勤の多い海上自衛官の読書には、電子書籍が最適
- メリット
- 本の保管コストから解放される。
- 書店に行けない状況でも、インターネットに繋がれば本を入手できる。
- 書店に在庫の無い本でも入手できる。
- 内容を検索できる。
- 紙の本より若干安いことが多い。
- デメリット
- 携帯電話や電子書籍リーダーの持ち込みに制限のある場所では読めない。
- 紙の本と違って、所有権が手に入るわけではない。
- 運営会社の意向で、ダウンロードできなくなったり、内容を勝手に差し替えられてしまったりする。
- メリット
- 信用できる電子書籍ストアを利用すべき。
- 購入済みの書籍を他のストアに持ち越すことが出来ない。
- 撤退しなさそうなサービスを選ぼう。
- 電子書籍を読むときは、電子書籍リーダーを使うのがオススメ
- 液晶ディスプレイより、目に優しい電子ペーパーで読んだ方が快適
- オススメはAmazonの「Kindle」と楽天の「kobo」
- どちらも端末の性能は十分高く、数年おきに後継機を投入しているので、端末そのものより、ストアの善し悪しで選ぶべき。
通信士~、イズムィコ先生の「オホーツク核要塞」はもう読んだ?
予想してた以上に、凄く面白かったよ。
ええ。先日読破しました。
最初は潜水艦の話に終始するのかと思いましたが、核抑止の考え方にも触れられていて、なかなか良かったですね。
流石は丸の内OL(29)……。惚れ惚れするなぁ。
核抑止と言えば、水雷長は、ブラッド・ロバーツの「正しい核戦略とは何か」はもう読みましたか?アレもなかなかの名著でしたよ。
いや、まだ読んでない。あれ結構分厚い本でしょ?置き場のことを考えると、気軽には買えないんだよなぁ。
それはそうと、通信士は色んな本読んでるけど部屋が本で一杯にならない?読む度に捨ててるの?
いえ、私はもっぱら電子書籍で読んでますね。
制約から解放されよう!
あー、電子書籍ね……。考えたことが無いわけではないんだけど……。
水雷長は紙の方が好きですか?
うん。画面で読むのは、ちょっと読んだ気がしないというか……。
分かります。私もどっちかというと紙の方が好きなので。
ただ、それを上回るだけのメリットもありますね。
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電子書籍のメリット
保管コストからの解放
電子書籍の最大のメリット、それは保管に伴うコストから解放されるということです。
水雷長の言うとおり、紙の本は買い増していくと、とにかくスペースを取りますし、重さもあって、管理が大変になっていきます。
そうなんだよねぇ……
引っ越しも多いから本棚も気軽には買えないし。
保管箱から出すのも戻すのも面倒だし。
段ボール箱に入れっぱなしにしておくとカビが生えるし。
引っ越し荷物用の箱に入れるときも、箱一杯に詰めると重すぎて持ち上げられないけど、隙間があると中で暴れ回って本が傷むし……。
それに、艦内で読もうと思ったら、まず持ってこないといけないです。
確かに。それもあって、重めの本は積む一方になっちゃうんだよね。
その点、電子書籍はデータでしかないので、いくら買っても大きさや重量は変わりません。分厚い専門書だから艦まで運べない、ということもなくなります。
うんうん。そうなんだよねぇ……。
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書店へ行かなくても本を入手できる。
もうひとつ大事なのが、本屋まで行かなくても本が手に入る、ということです。
そうかもしれないけど、今どきは通販でも本を買えるからね?
いえ、それとは次元が違います。私が言ってるのは、インターネットに繋がりさえすれば、上陸すらせずに本が手に入るということです。
通販で本を買うにしても、家に受け取りに行かないといけないじゃないですか。
うーん。確かに。
横須賀や佐世保なら、基地から少し歩けばそれなりの書店があるけど、舞鶴や大湊だときちんとした書店に行くだけで小旅行だもんね……。
幸いこの艦では経験したことがありませんが、夕方入港して翌朝出港、なんてことも無いわけでは無いのでしょう?
そうだね……。確かにあるね……。
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内容を検索できる。
世間一般では注目されることの少ないメリットですが、文中から単語を検索できるというのは結構便利なモノです。
あー。それはいいね。専門書とか読むときには、いちいち索引を見なくても目当ての単語を見つけられたらいいなと、ずっと思ってたんだ。
まさしく。漫画や小説を読むときにはあまり役に立たないかもしれませんが、技術図書や論文を読む上では、大変重宝します。
電子書籍の方が安い。
微々たる差ではありますが、電子書籍の方が紙の本より若干安い、という一面があります。
保管のコストが掛からないもんね。
英語圏ではこのメリットがかなり大きいようですが、日本でそこまで安くなることは稀です。電子書籍用のデータを作るのにはそれなりの手間がかかるそうで、日本語圏の市場規模程度では十分なスケールメリットが得られず、紙の本とそこまで経費が変わらないらしいですよ。
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電子書籍のデメリット
次にデメリットです。
やっぱり、紙の手触りが得られないことだよね~。
それは否定しませんが、半ば趣味の問題なので、この際飛ばします。
私が話すのはもっとクリティカルな問題です。
持ち込みの制限
電子書籍を読むには、専用の電子書籍リーダーや、パソコン・スマートフォンなどが必要です。
というわけで、携帯型情報通信・記録機器や私有可搬記憶媒体を持ち込めない区画では、読書することが出来ません。
言われてみれば、そうだね。
ということは、艦橋も、士官室も、CICもダメってことか……。
ここでも残念になってくるのが、技術図書ですね。
紙の本なら、パソコンの隣で参考資料として使えるんですが。
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所有権は手に入らない。
もう一つ残念なのが、本の所有権が手に入るわけではないことです。
そうだね。そこもボクとしてはちょっと気に入らないところ。
サービスの運営会社から提供されるデータを読む権利に過ぎませんので、サービスが終了してしまうと、読めなくなってしまいます。
それだけじゃないよ。運営会社が気に入らないと思ったら、内容を勝手に書き換えてしまえるんだ。
ボクも以前、あるサービスで漫画雑誌のデータを買ったことがあったんだけどね。久々に読もうと思ったら、記憶にあったはずの漫画がどうしても見つからなくて。何でだろうと思って探したら、掲載されてたはずの号でページが飛んでるんだ。ご丁寧に、巻末の掲載漫画一覧ではその作品が黒塗りになってて。
どうも、作者が運営会社と権利関係で揉めた結果らしいんだよね。利用規約上、そういうことが出来るようになってるのは知っていたけど、実際に自分が買ったデータでそういうことをされるのは、ちょっと気持ち悪いなぁ。
そういうこともあります。
他にも、「不適切な表現」が、購入後に伏せ字や言い換え表現に書き換わってしまっていたり。
誤字脱字などがあった場合に改訂版が手に入るチャンスがある、とポジティブに考えることも出来ますが、「買ったはずの本が勝手に弄くり回される」という感覚になるのが自然です。
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継続してくれるサービスを選ぼう。
とは言え……確かに魅力的ではあるよね。何と言ってもスペースの制約が無くなるというのは。
大切なのは、急に撤退したりしないサービスを選ぶことです。
ほとんどの電子書籍サービス(ストア)は、DRM(コピープロテクト)が掛かっているので、サービスが終了すると読むことが出来なくなります。
しかも、他のサービス(ストア)に購入済みの本を持ち越せないことがほとんどです。
音楽配信サービスなら、ダウンロードデータにはDRMが掛かってないから、購入後に潰れられたところで、そんなに痛手じゃないんだけどね~。
そういうわけで、電子書籍のストアを選ぶ上で、一番大事なのは簡単に撤退したりしなさそうな所を選びましょう。
そう考えると……やっぱりAmazonのKindleが一番かな?
ええ。それがいいでしょう。
次点で楽天のkoboも候補に入ってきます。
私は、Kindleが日本に上陸してすぐ、電子書籍を使い始めました。しかし、私が選んだのはSonyのReader Storeでした。当時のKindle端末はお世辞にも挙動が良いとは思えなかったですし、そのストアときたら、本気で本を売る気があるのかと憤るほどに酷かったのです。(ちなみに楽天がタダ同然で配り始めたkoboに至っては、タダでも要らないくらい酷いモノでした。)
それに引き換え、Sonyが満を持して世に送り出した端末 PRS-T3Sは、信じられないほど軽く、物理ボタンで快適なページ送り出来て、別売りカバーには照明まで付いて、本当に輝かしく思えたのです。Sonyがこの手の競争で失敗をくり返してきたことは知っていましたが、ここは私が買い支えないでどうすると思い、既に紙で持っていた本を含め、多くの本を買い漁りました。
が、その後Reader Storeは、日本以外の市場から撤退し、PRS-T3Sの後継端末も販売されないことになりました。ストア自体は未だに生き残っていますが、後に残ったのはスマートフォンでしか読めなくなった本の数々、となりました……。
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電子書籍リーダーを使おう!
うーん……でもなぁ。やっぱりスマートフォンで本読むのって、ちょっと落ち着かないんだよね。
そういう人こそ、電子書籍リーダーを使いましょう。
電子書籍リーダーって、あの電子ペーパーのやつ?
はい。電子ペーパーの強みは、液晶ディスプレイに比べて読んでいて疲れにくいことです。液晶ディスプレイは背面から照射するバックライトの光の透過率を変えることで読ませますが、電子ペーパーはマイクロカプセルの中で白黒の粒子を運動させることによって、表示面に白黒を付けます。なので、電子ペーパーは非常に紙に近い見え方で読むことが出来るんです。
確かに、見た目はそうだよね。
でもページのめくり方とかはどう?
こればかりは趣味ですね。
黎明期に比べると、端末側のユーザーインターフェースもかなり洗練されてきたので、そんなに不便は感じていないです。高速でページ送りも出来るようになりましたし。
……ちょっと私のKindleを触ってみます?
え?いいの?
ええ。どうぞ。
……おぉ~!昔触ってみたこともあったけど、今の端末って全然違うんだね!画面の応答速度もこんなに速くなったんだ!
加えて、電子ペーパーは書き換えのときにしか電力を消費しないので、端末のバッテリーの持ちは素晴らしいです。
丸一日読みふけってもまだ保ちますし、使わなければ数週間放置してもほとんど減りません。
これなら、買ってみるだけの価値があるかも。
そうでしょう?
私は、Kindleで手に入る本はKindleで買って、読んでみてどうしても紙で保管しておきたい作品だけ、紙でも追加購入してます。
確かに。それが良いかも。
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電子書籍リーダー選び……ではなく、ストア選びを。
端末選びか……なにがいいかな?
一番推奨するのは、Amazonの「Kindle Paperwhite シグニチャーエディション」ですね。
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Now Printing…
【電子ペーパー式専用端末の強み】
● 眼への負担が小さいので、スマートフォンで読むよりも快適な読書体験が得られます。
● 電子ペーパーは極めて省電力なので、長時間読んでも1~2週間くらいは充電ナシでOKです。
【Kindle Paperwhite シグニチャー エディションの強み】
● 電子ペーパーの鮮明さや応答速度は他社製品より群を抜いています。
● 文庫本(A6サイズ)と比べたとき、外寸はわずかに大きく、画面はわずかに小さい程度であり、文庫本に非常に近い感覚で携行・読書出来ます。
● フロントライトの色調を暖色系に変えられる上に、明るさの自動調整も可能になりました。
● ストレージ容量が32GBもあるので、漫画や図の多い専門書なども大量に保存しておけます。
Kindleの端末にはいくつか種類があります。
エントリー機の「Kindle」、防水性能のある「Paperwhite」、物理ボタンの付いた「Oasis」、大画面で手書きメモを取れる「Scribe」……
色々あるんだね。
無印のKindleでも十分に使えるものですが、私が推奨する「Paperwhite シグニチャーエディション」は内蔵ストレージが32GB、他機種の2倍用意されています。
やっぱりストレージサイズは大きい方がいいよね。
はい。テキストだけの本ならまず問題になりませんが、画像の多い本を買うとあっという間に容量を使い切ってしまいます。
漫画もそうですが、意外なのが文字だらけの専門書も問題になることがあります。
ははーん。さてはスキャンデータで売ってるんだね?
ご明察。あまり数の出ていない専門書は、電子書籍用にデータを作り直す手間を惜しんでいるのか、紙の本を印刷するときの画像データとして配信されていることが少なくありません。
画像のない本は数十キロバイト程度の大きさですが、全体が画像になっている本は数十メガバイト、ものによっては100メガバイトを超えることもあります。
16GBのモデルだと、100冊ちょっとくらいで一杯になりかねないね。
そう考えるとやっぱりストレージ容量は大事だなぁ。
容量の観点から言えば、「Oasis」や「Scribe」でも良いのですが、端末本体が高価ですので。値段も手頃で一番使い勝手がいいのは「Paperwhite シグニチャーエディション」だと思います。
なるほど!
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対する楽天Koboですが、端末のクオリティはKindleと遜色ないと言われています。私は使ったことがないので、あくまで店頭で触ったり、ネットで評判を呼んだ程度ですが。
その中でも評判が良いのは、「Kobo Libra Colour」です。
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【電子ペーパー式専用端末の強み】
● 眼への負担が小さいので、スマートフォンで読むよりも快適な読書体験が得られます。
● 電子ペーパーは極めて省電力なので、長時間読んでも1~2週間くらいは充電ナシでOKです。
【Kobo Libra Colourの強み】
● 大手の電子書籍リーダーでは初となる、カラー表示可能な電子ペーパーを採用しています。
● 別売りのスタイラスを使用して、文へのマーカー表示や手書きのメモを色つきで行えます。
● ページめくり用のボタンが付いているので、スワイプしなくても、片手で持ったままページめくりできます。
● ストレージ容量が32GBもあるので、漫画や図の多い専門書なども大量に保存しておけます。
この端末の最大の売りは、カラー表示可能な電子ペーパーを採用していることです。
えっ、電子ペーパーって、白黒表示しか出来ないんじゃないの!?
それを可能にしたのが、この端末です。
漫画などには最適な端末ですね。もちろん、ストアからカラー画像で配信されていないといけませんが。
それから、カラー表示の代償として解像度が悪くなっている(白黒300ppi、カラー150ppi)ので注意が必要です。
150ppiというと、一般的な雑誌やポスターの解像度よりはちょっと粗いかな?
そうですね。一昔前のKindleでも160~210ppiくらいは確保していたので、ちょっと気になるかもしれません。
あとは色も液晶ディスプレイで表示するほど鮮やかではなく、どちらかというと淡い色使いになります。
「Libra Colour」は「Paperwhite シグニチャーエディション」より少し高価ですが、その分機能は充実してます。
物理ボタンでのページ送りが出来る、とか別売りスタイラスで手書きメモが出来る、とかですね。
Kindleの方が優れてるところはあるの?
白黒電子ペーパーの精細さや応答速度では、Kindleに勝る評価を受けたものを見たことがありません。
一昔前は、電子ペーパーの供給会社がKindleの採用したモデルより高性能なモデルを他社に提供しないので、常にAmazonが最高性能の電子ペーパーを使える、なんて話も聞かれたことがありました。
とは言え、店頭で見た限り、最近の端末はどれも十分な性能を持ってるように見えますが。
なるほどね……
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私は、端末そのものの性能比較をするより、ストアとしての使い勝手で比較した方が良いと思います。
そうだね……
端末はどんどん新しいのが出るし、気に入らなかったら買い替えられるもんね。
ええ、その点ストアは簡単に乗り換えることが出来ません。なので、自分が使うと決めたストアに対応している端末の中から好きなものを選ばないといけません。
KindleとKoboでは、ストアの違いはどうなの?
Kindleの方が蔵書数が圧倒的に多いといいます。ただ、これは洋書や専門書も含む値なので、普通の人が読む文庫本や新書なら、だいたいどこのストアでも共通して取り扱われます。
なので、蔵書数はそこまで心配しなくていいと思います。
うんうん。
一方、Kindleには個人出版のサービス(ダイレクト・パブリッシング)があるので、紙の本にはならないような作品が配信されていることもあります。
へぇ~、そうなんだ。
他には、KindleにはKindle Unlimitedというサブスクリプションサービスがあって、多くの本を読み放題に出来ます。また、Amazon Prime会員だと数冊ではありますが、一部の本を「レンタル」するような形で読むこともできます。Koboにはそういったサービスが無いですね。
まぁ、自由にネットに繋げない艦艇乗りだと、あんまり旨味はないかもしれませんが……。
なるほど~
対するKoboは楽天グループだということもあって、ポイント還元などを強力にプッシュしているようです。
確かに最近は楽天もよく使うようになったからなぁ……
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……よし、決めた!
ボクはKindleを買うことにするよ。
やはり最大手ですから、安心感が違いますものね。
そうだね。流石にKindleが撤退!ということはそうそう起こらないと思うからね。
色々教えてくれてありがとう!
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