この記事では、海上自衛隊における幹部の養成区分と幹部候補生学校の管理単位について、次の内容を説明します。
- 幹部候補生学校では、学生は「学生隊」に所属する。「学生隊」は「第1学生隊」から「第3学生隊」まで3つに分かれる。
- 第1学生隊:防衛大学校卒業者や一般幹部候補生の採用試験の合格者が所属する。
- 将来の指揮官を育てる。出身者はA幹と俗称される。
- 第2学生隊:海曹から選抜試験を受けてきた一般幹部候補生課程(部内課程)の候補生、航空学生から来た飛行幹部候補生が所属する。
- 現場の分かる中堅管理職を育てる。出身者はB幹と俗称される。
- 第3学生隊:曹長・准尉から昇任することになった幹部予定者課程学生が所属する。
- 後進を育てる、教官などを育てる。出身者はC幹と俗称される。
- 第1学生隊:防衛大学校卒業者や一般幹部候補生の採用試験の合格者が所属する。
先パイ、あの。ずっと気になってたんですけど、先パイが時々言う「A幹」って何ですか?
……そういえば、説明していなかったね。
学生は、学生隊に所属する。
組織の話をしよう。
まず、幹部候補生学校の組織は大きく分けて「教育部」と「学生隊」に分かれるんだ。
教育部は教官が所属する組織で、どういう教育を施すのかを管理しているよ。
一方、学生隊は学生とその指導官が所属する組織で、学生の人事管理や生活指導をやっているんだ。
ふむふむ。
そして、学生隊の下には第1学生隊から第3学生隊まで、3つの組織がぶら下がる。
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第1学生隊:A幹
第1学生隊は、防衛大学校卒業者や一般幹部候補生採用試験に合格した人が所属する組織だよ。
先パイがいつも言ってる1課程・2課程ってのはこれのことですか?
そのとおり。ここを出た幹部はA幹と俗称されるんだけど、将来の指揮官になる要員として総合的な人事管理を受けることになるよ。
出世コースを進む人たちですね。
ほとんどの人は定年までに2佐まで、半分くらいの人が1佐まで昇進する。出世を望むならここ以外に選択肢はないね。
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第2学生隊:B幹
第2学生隊は、既に部隊で活躍している人たちが来るところだよ。
さらに二つのカテゴリーがあって、海曹から選抜試験をくぐってきた「一般幹部候補生課程(部内課程)」の候補生と、航空学生(パイロットを育てるための制度)から来た「飛行幹部候補生」が所属する。
ん?一般幹部候補生は第1学生隊ではないんですか?
これがまたややこしいところなんだよね。素直に「部内幹部候補生」って名前にすればよかったのに、なぜかこんな名前にしてしまったから、「一般幹部候補生」だけで判別できないの。だからこそ「A幹」なんて俗称が必要になっちゃうんだ。
この第2学生隊から幹部になった人は「B幹」と俗称されるよ。
3佐から2尉くらいまで昇任して、現場の分かる中堅管理職として部隊の中核となって働くんだ。
たたき上げの人って感じがありますね。
そうだね。このB幹は、A幹に比べると異動が少なくて、異動しても似たような配置に行くことが多い。より専門性を高められる制度といえるね。
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第3学生隊
第3学生隊は、3尉への昇任試験に合格した曹長や准尉が受ける幹部予定者課程の学生が所属するよ。
第2学生隊の人に比べると、やっぱり年配ですね。
それはもちろん。定年ギリギリの人は来ないけど、間もなく50代くらいでくる人がほとんどだからね。
この人たちは幹部になるとC幹と俗称される。部隊で働く事もあるけど、どちらかというと、後進を育てるための教官になる人がほとんどだね。
なるほど、出身によって幹部候補生学校で所属する学生隊と、幹部の役割が変わってくるんですね。
そういうこと!
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