この記事では、海上自衛隊幹部候補生学校の組織について、次の内容を説明します。
- 人事管理は「分隊」で行われる。
- 分隊は30名程度のグループ。1課程・2課程が混在している。
- 訓練は分隊単位で行われるのが通例。
- 人事評価は「分隊長」に指定された教官が行う。
- 同期の結束意識が強いのは分隊の方。
- 教務は「教務班」で行われる。
- 2つの分隊の1課程・2課程が、それぞれ別の教務班に所属する。つまり、1課程の教務班と2課程の教務班に分かれる。
- 教務を受ける際は、教務班単位で行動する。
- 教務班には「教務班長」のような教官はいない。
続いて、分隊と教務班の話。これも話しておかないと分からないよね。
分隊は人事管理を行う単位
まず分隊から。これは人事管理を行う単位なんだ。
概ね30人くらいのグループで、第1学生隊の場合、1課程と2課程が半分ずつくらい混在するよ。
アレ?ネットで調べると、分隊って5人から10人くらいって書いてあるんですけど。
それは陸軍種における数え方だね。小隊(Platoon)を分割する場合に分隊(Squad)という言葉を使うんだ。
ややこしいけど、海軍種だと同じような仕事をしている人たちを人事管理するときに分隊(Division)と呼ぶんだよ。幹部候補生学校でもそれに倣って、人事管理単位を分隊と呼んでいるんだ。
艦で使う分隊は場所によって人数はバラバラだけど、幹部候補生学校の場合、例年の採用人数は決まっているし、分隊間の対抗競技会をやることもあって、分隊は第1分隊から第6分隊まで、分隊あたりの人数は30人前後に落ち着くんだ。
管理単位ってのがよく分からないんですが。
一緒に行動させるグループ、くらいに思っていいよ。
学生館の部屋もまとまっているし、訓練するときは分隊単位で訓練するんだ。朝の定時点検も分隊単位で更新するしね。
分隊の中にも学生のリーダーになる室長や室次長がいて、その人たちを中心に分隊間競技での優勝を目指したりするよ。
あとは人事評価。学生の成績を付けるのも、分隊に対してひとり指定された「分隊長」の教官がやるの。あとは学生に対して生活指導したりね。
分隊長は入隊から10年くらいの1尉から3佐くらいの自衛官が努めるんだ。候補生が1尉に昇任して砲術長や航海長を努める頃には、分隊長が艦長として君臨することもよくあるよ。
なるほど。
修業した後、同期の結束意識が強いのは分隊だね。同じ分隊じゃなくても仲の良い同期は結構居るけど、やっぱり同じ分隊で一緒に訓練を乗り越えてきた仲間は別格だよ。ボクもそろそろ入隊して10年になるけど、時々分隊会に呼ばれるしね。
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教務を受ける単位、教務班
それに対して、もう一つ編成されるのが教務班。これは教務を受ける単位だよ。
なんでそんなものが……、あ、そうか。
そう、1課程と2課程では受ける教務が違うからだね。
第1学生隊の候補生の場合、隣り合う2つの分隊から、それぞれ1課程だけ、2課程だけが選ばれて、別々の教務班に組み入れられるんだ。
例えば、1・2分隊の候補生のうち、1課程は第1教務班に、2課程は第4教務班にって感じ。
朝の定時点検が終わるときは、教務班ごとに整列し直して、講堂へ行進するのが通例。そのまま教務班ごとに違う部屋で教務を受けるんだ。
この教務班を管理する人はいるんですか?
いや、「教務班長」みたいな教官はいないよ。
中核になる教官や班のリーダーがいないのもあって、あんまり同じグループだった、っていう印象はないんだよね。どっちかというと「隣の分隊の同期」って感じ。ボクの場合、隣の分隊の人だと、むしろ1課程の方が仲の良い人が多いくらい。
なるほど~なんとなく、分かりました。
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