この記事では、艦艇での食事について、次の内容を説明します。
- 艦艇で提供される食事は、通常の給食よりも質も量も優れていること。
- 給食の基準において、量や調理に使える金額が加算されていること。
- 艦の食事は、艦艇での単調な生活にメリハリをつける観点から、変化を付けることが奨励されていること。
- 艦には給養員という調理を専門にする隊員がおり、優れた技術を有していること。
艦艇の食事は質も量もすごい!
そういえば、艦の食事は豪華だと聞いたんですが、どうなんですか?
よくぞ聞いてくれた!艦の食事は陸上基地の食事より豪華だよ。これだけはもう、誰にも否定できないセールスポイントだよ!
陸上も悪くはありませんが、艦艇はすごいですね。
でも、何でですか?艦でこれだけ出来るなら、陸上でも同じくらいのものを出せばいいのに。
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使える費用が多い
食事には量や調理に使える金額の基準があるんだけど、航空機搭乗員や艦艇乗員みたいな特殊な業務に就く人は、量や調理に使える金額が加算されているんだ。
なるほど、パイロットや艦の乗員は食事面で優遇されてるんですね。
航空機搭乗員の場合、基地で普通の隊員と一緒に給食を受けるから、搭乗員用に一品追加(加給食)となるんだけど、艦艇乗員の場合は全員がその対象になるから、艦内で出る食事自体の質や量が増強されるんだ。
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変化に富む艦の食事
まぁ……そうは言っても、艦の食事は毎日が毎日、こんな写真みたいな食事というわけではないよ。もう少し質素な日もあるし。
広報に映すのは、やっぱり豪華にしている日の方が多いかな。
あれ、そうなんですか。
艦艇の食事は、洋上での生活の中で数少ない楽しみになっているから、色んなものを出して単調化を防いでいるんだ。
そういえば、そんなこと聞いたことがありました。
で、本来だったら三食とも決められた量、決められた内容で出すんだけど、厳格にやるとどうしても単調になってしまうでしょ?
だから、栄養や金額は数日かけてバランスを取るくらいの感じで、一回一回は変化に富んだ食事を出すんだ。
なるほど。そのあたりは学校給食なんかとはちょっと違うところですね~。
まぁ、これは艦艇だからこそ出来るってのはあるね。
陸上の給食だと、休暇で食べなくなる隊員や、よその地域から出張してきて給食支援しないといけない隊員が日々出てくるから、数日かけてバランスを取るのも難しいし、食材の使用ペースを乱すと取り戻せないんだ。それに少ないとは言え有料給食も行われているから、代金を取っておきながら、日によって豪華な日と質素な日があるなんて色々問題になってしまうし。
その点艦艇は、出港したら食べる人数が確定するから、そういう工夫はしやすいよね。
陸上は陸上で色々大変なんですね。
「変化に富ます」極致が入港前夜だね。
長期行動の時には、節目のタイミング――だいたい期間の真ん中とか入港前夜に、趣味に走った食事を出したり、「入港ぜんざい」を出したりする艦が多いよ。
入港前夜を栄養バランス完全無視の「チートデイ」にする艦は時々あるよ。ボクがこれまで見た中で最高のやつは、ビフテキ、フライドポテト、ピザ、唐揚げ、ケーキ、以上!あれだけやってしまうと、もう広報にも載せられないね!
おぉぉ……素晴らしい~。
なるほど、みんな最終日の食事を心待ちにしながら、長期の出港に耐えるんですね。
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アウトソーシングされた陸上食堂。隊員が調理する艦艇。
もうひとつ、艦艇の給食の特徴は隊員が調理していることだね。
そうか、別に雇われたコックが乗ってるわけじゃないから、乗員自身が調理しないといけないんですね。
ところがどっこい、艦には給養員という調理を専門にする隊員がいるんだ。
給養員の話の前に、陸上基地の食堂について。昔は自衛官が調理したものを出していたんだけど、今の基地食堂はほとんどの場合、民間の業者にアウトソーシングされているんだ。契約に基づいて毎食毎食規則どおりに提供されてるから、出てくるものがかなり安定している――まぁ、これが基地食堂の食事がともすれば単調に思えてしまう原因でもあるね。
アウトソーシング自体は、給養員の人手不足解消にも繋がったし、食事のクオリティも上がったという意見が多くて、歓迎されてるみたい。
対して艦艇は、給養員が調理をしているから、メニューもある程度は自由がきくんだね。
正確に言うと、調理をしているのは給養員だけではありません。4分隊(補給科・衛生科)の海士など給養員ではない隊員も、下処理などの調理作業に参加するのが通例です。
調理員は、献立の考案や作業監督など調理作業を主導するとともに、食材の管理や給食実施にあたって法令で定められている手続きを行い、円滑な給食実施をサポートする点で、調理作業に参加する他の隊員と異なります。
給養員の技術はどうなんですか?
まぁ、「人による」っていう身も蓋もない話になるんだけど、総じて技術は高いよ。給養員は入隊してしばらくすると学校で調理のことを徹底的に勉強させられるんだ。
艦艇で勤務しているときも、給養員長の指導を受けながら味付けを調整するし、艦艇乗員は良くも悪くも舌が肥えているから、感想がどんどんフィードバックされていく。
日々調理技術を磨いていくことになるから、10年もすると民間のコックにも劣らない素晴らしい調理師になれるんだ。
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まとめ
それじゃあまとめるね。
艦艇で行われる給食は、基地食堂の給食より質も量も豪華だという話。
理由は、使えるお金が加算されているからってことでしたね。
食費が増えれば良いものが食べられるのは、当然と言えば当然ですね。
考慮事項として、日によって豪華さには若干の波があることを話したね。広報に映されるのは、基本的に豪華な日。
生活の単調化を防ぐためにあえて変化を付けているって話でした。
この話、予算の中で豪華な食事の日を作るために、リソースをちょっと抑えめにした質素な日もあるって理解しましたよ?
その理解でだいたいあってる。まぁ、質素な日も別にショボい訳ではないからね。基地食堂の食事とそこまで変わらないくらいだと思って。
で、これらを支えているのが給養員という調理専門の隊員でしたね。
そう。学校で調理を学んで、艦でも調理を学んで、技術を磨き続ける民間のコックにも劣らない調理師なんだ。
金も人も、艦艇乗員のためにリソースを割いて、よりよい給食の実現に向けて努力しているから、艦艇のハイクオリティな給食が維持されているんだ。
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