護衛艦パート紹介シリーズ:補給員

この記事では、護衛艦のパートについて次の内容を説明します。

  • 「補給」は、物品の請求や管理を行うパート。
    • 武器のスペア基盤からボールペン1本に至るまで、国が保有する物品は数量や所在が管理されている
    • 各パートは物品の請求や返納を、定められた手続きにしたがって行っている。そのとりまとめ役となるのが「補給」
      • 護衛艦の補給長は、物品の供用について特別な責任を有しており、造修補給所など補給部隊から入手した物品は補給長を介して必要とするパートに供用される。
      • 請求や返納の手続き自体は各パートが行うが、補給員は補給長による供用の実務を担当し、手続きが間違いなく行われるよう指導する。
    • 武器などのスペアパーツ(COSAL品)は、補給員が管理する倉庫で保管される。
      • 補給の倉庫で保管するのは、亡失を防ぐためであり、効率的な補給を可能とするため
      • 戦闘中に武器などが故障した場合は、僅かな時間でスペアパーツを探し出し、必要なパートに引き渡す責任を負っている。
補給長 財前2尉

さてさて、次は補給員について説明します。

目次

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艦の倉庫番

補給長 財前2尉

「補給」は物品の請求や管理を行うパートです。

募集対象者 京井 未来

補給……っていうくらいだから、燃料とか弾とかを補充してくれる人って訳ではないんですか?

補給長 財前2尉

ええ。燃料や弾薬も物品の一つではあるんですが、補給員はそういう活動をする人ではないですね。補給の仕事は、艦全体の倉庫番だと思ってください。


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物品の適正な管理

補給長 財前2尉

補給員が非常に重要なのは、物品管理法上の物品を適正に管理する必要があるからなんです。

(定義)
第二条 この法律において「物品」とは、国が所有する動産のうち次に掲げるもの以外のもの及び国が供用のために保管する動産をいう。
一 現金
二 法令の規定により日本銀行に寄託すべき有価証券
三 国有財産法(昭和二十三年法律第七十三号)第二条第一項第二号又は第三号に掲げる国有財産
2 この法律において「供用」とは、物品をその用途に応じて国において使用させることをいう。

物品管理法

(国有財産の範囲)
第二条 この法律において国有財産とは、国の負担において国有となつた財産又は法令の規定により、若しくは寄附により国有となつた財産であつて次に掲げるものをいう。
一 不動産
二 船舶、浮標、浮桟橋及び浮ドック並びに航空機
三 前二号に掲げる不動産及び動産の従物
四 地上権、地役権、鉱業権その他これらに準ずる権利
五 特許権、著作権、商標権、実用新案権その他これらに準ずる権利
六 株式、新株予約権、社債(特別の法律により法人の発行する債券に表示されるべき権利を含み、短期社債等を除く。)、地方債、信託の受益権及びこれらに準ずるもの並びに出資による権利(国が資金又は積立金の運用及びこれに準ずる目的のために臨時に所有するものを除く。)

国有財産法
募集対象者 京井 未来

うーん?どういうことです?

補給長 財前2尉

国が保有する船……つまり、護衛艦そのものや、護衛艦の付属品(武器やエンジンなど)は国有財産なんです。で、その国有財産に含まれないけれど国が保有している動産は物品……ということが法律で定められています。
なんのこっちゃと思うかもしれませんが、こういう規則を一つ一つクリアしていかないと、国の財産を扱うことが出来ないんです。

募集対象者 京井 未来

その物品って、具体的には何があるんですか?

補給長 財前2尉

「艦を逆さまにして振ったとき、落ちてくるものが物品、落ちてこないものが国有財産」なんてことをよく言われます。要は、艦に据え付けられているものは国有財産だけど、単に棚に置いてあるものは物品という考え方です。
というわけで、武器自体は国有財産ですが、武器が故障したときのために倉庫に保管している予備パーツは物品、という扱いですし、なんだったらコピー用紙やボールペン1本に至るまで、物品ということになります。そしてこうした物品は全て、数量や所在が管理されています

募集対象者 京井 未来

えっと……その物品を請求したり管理したりするのが、補給の人の仕事ってことですか。

補給長 財前2尉

そういうことです。
正確に言えば、請求の手続き自体は各パートの人がするんですけどね。
私のような補給長は物品の供用について特別な権限を与えられていて、各パートが物品を必要とするときは、補給長を通じて物品のやり取りをすることになっています。造修補給所のような補給部隊から物品を入手するときも、建前上は補給長が各科長に渡すような仕組みになっているんです。
その物品供用の実務を担当するのが補給員というわけです。

募集対象者 京井 未来

……つまり、補給の人に請求して、補給の人から物品をもらう……と?

補給長 財前2尉

だいたい、そういう理解で大丈夫です。もちろん、実際には各パートの人が補給部隊と直接調整しますし、実際に物品を受け取る時も補給員を介さずにやり取りするのがほとんどです。
でも、手続き上補給員を通すことによって、手続きが間違いなく行われるように指導することが出来るんです。

募集対象者 京井 未来

ふーん……なかなか大変なんですね~


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COSAL品の管理

補給長 財前2尉

補給員にはもうひとつ大事な仕事があります。それがCOSAL品の管理です。

募集対象者 京井 未来

こーさる?

補給長 財前2尉

COSALというのはCoordinated Shipboard Allowance Listの略で、艦に予め搭載しておくスペアパーツのリストのことです。実際にCOSALと言うと、リストそのものより、そのリストに列挙されているスペアパーツ自体のことを指す事が多いですね。

募集対象者 京井 未来

そのリストはなんのためにあるんですか?

補給長 財前2尉

効率的な補給のためです。艦が任務行動をしている最中に武器やセンサーが壊れてしまったとき、スペアパーツを持っていなかったら、その艦は港に帰ってくるか、ヘリコプターなどでパーツを受け取らないと修理できません。だから、予めひつようになりそうなパーツは艦に載せておくんです。
とは言え、何でも載せれば良いというものでもありません。倉庫のスペースには限りがありますし、仮にスペースは大丈夫でも、一つの艦にたくさん載せすぎると他の艦に載せるパーツがなくなってしまうからです。使用頻度などを考慮して、必要なパーツと数がリスト化されたもの、それがCOSALなのです。

募集対象者 京井 未来

それを管理するっていうのはどういうことです?

補給長 財前2尉

有り体に言えば、補給が持っている倉庫で保管しておくってことです。
護衛艦には補給員が働く補給科事務室という区画があるんですが、そこに繋がる形で巨大な倉庫が用意されています。COSAL品はこうした倉庫に置かれるんです。

募集対象者 京井 未来

うーん?それって、最初から必要な武器のところに置いておいたらダメなんですか?

補給長 財前2尉

ええ。補給の倉庫で保管しておくのはいくつか理由がありまして。
ひとつは物品の亡失を防ぐためですね。COSAL品の大半は使われることなく、艦の修理の時や他の艦で必要になったときに陸揚げされるものです。そういうものを全て各パートに配ってしまうと、どうしても無くなったり壊れたりする物品が出てきてしまって、適正な管理が出来なくなってしまうんです。

募集対象者 京井 未来

ああ……なんとなく分かります。

水雷長 遠見1尉

……なんで今、ボクを見たの?

補給長 財前2尉

もうひとつは、効率的な補給のためですね。
COSAL品の中には、ある武器だけでなく他の武器でも使えるものも時々あります。でも、特定の武器のところに置いてしまったら、他の武器で必要になったとき、いちいちその武器のところまで行かないといけませんから。
それに、COSALのリストは故障発生率や陸上の在庫状況を踏まえて時々改訂されます。つまり、どんな物品が搭載されるかが時々変わるわけですから、使うところのすぐそばに置こうとすると、溢れて入りきらない倉庫も出てくれば、空きが出てしまう倉庫も出てくるわけです。それを考慮すれば、補給科の倉庫にまとめて置いた方が、モノが変わっても対応出来るわけです。

募集対象者 京井 未来

なるほど~。

補給長 財前2尉

ただ、こういうやり方をしているわけですから、戦闘中に武器が壊れたりすると、結構大変です。艦内の通路は至る所が閉鎖されているので、敵の攻撃が止んでいる間に急いで倉庫まで取りに行かないといけません。
そこで活躍するのが補給員。COSAL倉庫に必要とするものがあるのか、伝票で探して速やかにモノを見つけて、補給科事務室に辿り着いた隊員に引き渡す。僅かな時間でモノを探し出す責任を彼らは負っているんです。

募集対象者 京井 未来

確かに。整理整頓のスキルが求められそうですね!

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