この記事では、入隊予定者の入隊準備をサポートするため、次の内容を説明します。
- 入隊予定者が最優先でやるべきことは、体力練成
- 幹部候補生学校や教育隊での生活を大きく左右するから。
- 疲労との戦い。疲れると積極性が失われて、分隊(班)の中で他人に言われたとおりにしか動けなくなる。また、勉学に集中できなくなり、試験成績が落ちる。
- 補備訓練。体力測定の結果が不良だと、改善のために追加で訓練をすることになり、周囲に迷惑をかける。それが負い目になり、緩やかな上下関係が出来てしまう。
- 体力測定
- 測定の種類と内容
- 運動能力測定I
- 腕立て伏せ
- 膝半屈腹筋(いわゆる腹筋運動)
- 3000m走
- 運動能力測定II
- 懸垂腕屈伸(いわゆる懸垂)
- 女性は、斜め懸垂腕屈伸(斜懸垂)を実施
- 走り幅とび
- ボール投げ(ソフトボール投げ)
- 懸垂腕屈伸(いわゆる懸垂)
- 水泳能力測定
- 自由形
- 平泳ぎ
- 運動能力測定I
- 測定の種類と内容
- トレーニングの方法
- トレーニングは筋トレと有酸素運動に大別出来る。
- 筋トレは、筋肉に負荷を掛けることで筋力の向上を目指す運動。
- 腕立て伏せやダンベル運動など。
- 有酸素運動は、長時間継続して行う運動。
- ジョギングや水泳など。
- 一般に脂肪燃焼を狙って行われることが多いが、呼吸・循環器系の筋トレにもなる。
- やり方によっては脂肪と一緒に筋肉が分解され、筋力が減退する可能性もある。
- 有酸素運動をしっかり行うにはある程度の筋力が必要になるので、筋トレを中心に、追加で有酸素運動を行うようなトレーニングを行うのがよい。
- 有酸素運動を不要とする者もいるが、呼吸器・循環器系の筋トレは有酸素運動でしか出来ないので、疎かにしていると、すぐ息切れしてしまう。
- 筋トレは、筋肉に負荷を掛けることで筋力の向上を目指す運動。
- 運動能力測定Iの実施項目は、トレーニングを重ねることで成績が上がりやすく、総合的な体力向上にも繋がりやすいので、運動能力測定Iの3項目をこなしていくだけでも十分効果がある。
- 腕立て伏せと腹筋運動が筋トレ、3000m走が有酸素運動に該当する。
- 日常的な運動習慣が無く、運動が続かない人は、次のような方法で負荷を減らしてやると良い。
- 腕立て伏せ:膝を地面に付けた状態で回数をこなす。
- 腹筋運動:仰向けになった状態で、上体を起こすのではなく、脚を地面から少しだけ浮かせてキープする。
- 3000m走:会話するのが少し苦しくなる程度に、長時間早歩きする。
- 時速5kmで30分~1時間が目安。
- 運動能力測定IIの実施項目は、Iに比べると技術を要求される性質が強く、幼少期の運動習慣にも多大な影響を受ける。自己流でトレーニングしてもあまり成績向上しないことが多い。
- 特に走り幅とびとボール投げは、怪我をしやすい種目なので、運動能力測定Iしかやらないのも一つの選択。
- 空腹状態でのトレーニングは避けた方がよい。
- 低血糖状態で運動すると、筋肉が分解されやすく、その後の再生も起こりにくいため、トレーニングを重ねるごとに筋力が衰えていく。
- 運動の前に炭水化物を摂取しておき、運動後すぐにタンパク質を摂取することで、筋力の増強が起きやすくなり、効率的なトレーニングが出来る。
- トレーニングは筋トレと有酸素運動に大別出来る。
- 幹部候補生学校や教育隊での生活を大きく左右するから。
先パイ、いよいよ入隊まで3か月になってきたんですけど、正直何を準備したら良いのかよく分からないんですよ。何をしたら良いんですかね。
そうだね……物を買ったりとか、今しか出来ない体験をしておいたりってのはあるけど。ボクの反省から言うと今のうちに運動しておくことかなぁ。
どうして運動が必要なのか?
運動……ですか?そりゃまぁ、軍事組織で生活するわけですから、運動は必要なんでしょうが。
でも、私が入るの、幹部候補生学校ですよ?そんな暇があったら勉強とかした方がいいんじゃありません?
ところがね。幹部候補生学校でも教育隊でも、運動の必要性はそんなに変わらないんだ。運動が出来るか出来ないかは、幹部候補生学校や教育隊での生活を大きく左右するんだ。
そんなに?
うん、理由は大きく分けると二つある。
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自衛隊生活は疲労との戦い
まず一つ目。運動をしっかりやって体力を付けておかないと、疲れやすくなるから。ボクは現在進行形で思い知らされているんだけど、疲れてくると、本当に何にもしたくなくなるんだよね。士官室から出て先任海曹室に調整に行くのすら億劫になってきて、やらないといけないことも先延ばしにしがちになる……。
幹部候補生学校や教育隊でも同じで、分隊や班の中で旗振り役になって何かしようという積極性がなくなっていくんだ。そうなると、割と積極的な子がグループの中心的人物になっていって、体力の無い子はその人の言うことにただ従うだけ……ってことになる。
うーん、そういうものですかね。
それに、声のデカい人が主導権を握りたいなら、それはそれで任せておけばいいんじゃありません?
その人が皆を良くない方向に引っ張っていっても?
幹部になるなら「とりあえずその人について行けばいいや」って考え方はあまりしてほしくないな。いずれは自分で部下を引っ張ることになるんだから。
まぁ……確かにそうですね。
それに、汚い話、そういうところで成績に差が付くんだよね。
分隊の中でリーダーシップを発揮してる子は、幹部候補生に限らず、一般曹候補生や自衛官候補生でも良い成績が付くよ。ここで付いた成績は結構後まで響くんだ。なにしろ、皆それぞれの部隊、それぞれの職域で散り散りになってしまうから、全体で比較できる機会なんてそんなには無い。昇任選考なんかの時は、幹部候補生学校や教育隊での成績が重視されるんだ。
成績と言えば、疲れやすいと勉強の方にも悪い影響があるよ。
それはなんとなく分かります。
疲労困憊していると、日中の教務にも集中できなくなるし、夜の自習時間でも勉強に身が入らなくなるからね。ペーパーテストの成績が落ちると、これまた成績に響くから、運動に耐えられる体力を持っていないとなかなか厳しいね。
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補備訓練との戦い
もう一つ、体力が無いことのデメリットとして、補備訓練があるよ。
?
体力測定の結果、基準に達しなかった低体力者がやる追加訓練のことだよ。別課の時間に、他の人が短艇操法やクラブ活動をしている時間にやることが多いね。
なんだ、そのあたりはきちんとフォローしてくれるんですね。
とは言え、これも善し悪しで……。
今言ったとおり、補備訓練をしている間、分隊のメンバーは他のことをしているんだね。入隊してすぐの頃は、短艇操法の訓練をしていることが多いし、その後も競技会の訓練をしていることが多い。つまり、低体力者はそういう訓練に参加せず、自分の体力改善に取り組まないといけないことになる。
それってマズいんですか?
はっきり言ってマズい。
短艇にしても競技会にしても、ほとんどがチームプレイで、こういう時でもないと訓練が出来ないんだ。なのに、一部のメンバーが不在のまま訓練して、本番にだけほとんど訓練していない、それも体力の無い人間が入ってくる。
あー……。それは確かに針のむしろというか、なんと言うか……。
そうやって周囲に迷惑をかけるから、とてもね……。負い目が出来るんだ……。
……これ、実体験ってヤツですね。
そりゃあ、もう。
うちの航海長の梶くん、いるでしょ?梶くんとは同じ分隊だったんだけど、防大では短艇委員会のエース、候校でも分隊の短艇係だったものだから、それはそれは並々ならぬ熱意があったんだ。なのに、ボクみたいなのが総短艇の度にまともに漕げなくて全然勝てなかったからさ……。
ボクも本当にいたたまれなくて、梶くんに睨まれないように生きていたんだ。
へぇ、そんな風には見えませんでしたが。
梶くんはいつもフランクに話しかけてくれたし、一度も補備訓練のことを責めてこなかったんだけど、ボクからしてみればそっちの方が怖かったね。
そうやって緩やかな上下関係が出来ると、結構厄介なんだ。下にいる人はなかなか強気に出られないから、リーダーシップを養う機会を得られなくなる。結果、成績も高くならないし、部隊に行った後も自分でモノを決めるのが苦手になる。
梶さんの態度を見てると先パイの考え過ぎのような気もしますが……。でも迷惑を掛けてる方がいたたまれないというのは、そうかもしれませんね。
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体力測定
そう言えば、体力測定って具体的に何をするんですか?
海上自衛隊の体力測定は、「運動能力測定I」「運動能力測定II」「水泳能力測定」の3つに大別出来るよ。
運動能力測定I
運動能力測定Iは「腕立て伏せ」「膝半屈腹筋」「3000m走」の3種類からなるんだ。「膝半屈腹筋」というのは要するによくある腹筋運動と思っていい。
腕立て伏せと腹筋は2分間に何回出来るかを計測して、3000m走は3000m走るのにかかった時間を測定するよ。
どのぐらいの回数が必要なんですか?
年齢や性別によって違うよ。種目ごとに点数を付けて、3種目の合計点がいくらになったかで等級分けするんだ。海上自衛隊全体の基準では7級(135点)でもいいんだけど、学校では6級(160点)に達しないといけないんだ。
ん?なんでそんな面倒な分け方してるんですか?
もともとは種目ごとに5級とか6級とかを付けて、3種目で最も低い等級をその人の運動能力測定Iの成績としていて、6級に達しないと不合格としていたんだけど、近年運動できない人がどんどん増えてきて、そのシステムでは上手くいかなくなってきたから、今のやり方に改められたんだ。
7級は余程運動が出来ない人でもない限り、本当に楽々クリアできるレベルだから、学校での到達目標は6級のままにされているよ。
なるほど……。
例えば、次のような得点を獲得できれば、6級、7級はクリアできるよ。
24歳以下男性の場合
腕立て伏せ | 腹筋 | 3000m走 | |
---|---|---|---|
6級 | 33回 (54点) | 39回 (54点) | 15分17秒 (54点) |
7級 | 21回 (45点) | 30回 (45点) | 16分20秒 (45点) |
24歳以下女性の場合
腕立て伏せ | 腹筋 | 3000m走 | |
---|---|---|---|
6級 | 18回 (54点) | 19回 (54点) | 18分30秒 (54点) |
7級 | 11回 (45点) | 10回 (45点) | 19分42秒 (45点) |
海上自衛隊における体育実施基準について(通達)(海幕教1第1947号。49.4.23)による。
あ、思ったよりイケるな、これ。
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運動能力測定II
運動能力測定IIは「懸垂腕屈伸」「走り幅とび」「ボール投げ」の3種目からなるよ。
「懸垂腕屈伸」って難しい言葉使っているけど、要するに懸垂運動。ちなみに女性の場合は「斜め懸垂腕屈伸」をやるよ。名前がややこしいから皆「斜懸垂」って呼ぶけど。
「走り幅とび」は、読んで字のごとく。「ボール投げ」はソフトボールを投げるよ。
斜懸垂って、どういうことです?
本来の懸垂は、高い鉄棒にぶら下がって、自分の筋力だけで自分の全体重を持ち上げて、下顎まで鉄棒より高く上げるんだ。
対する斜懸垂は、胸の高さくらいの低い鉄棒に、脚を地面に付けたまま斜めにぶら下がって、身体が鉄棒に付くまで持ち上げるんだ。脚が地面に付いている分、持ち上げないといけない体重は軽くなる。
なるほど、女性に懸垂運動させると、よほど筋力のある人でないと出来ないか、1~2回で終わってしまうからですね。
運動能力測定IIは、男性は40歳未満、女性は30歳未満が対象で、それより高齢になると対象外になるよ。
そして点数は年齢に関係なく決められていて、合計点30点以上で7級、60点以上で6級になるんだ。
例えば、次のような成績を出せれば6級、7級はクリアできるよ。
男性の場合
懸垂 | 走り幅とび | ボール投げ | |
---|---|---|---|
6級 | 3回 (20点) | 360cm (20点) | 30m (20点) |
7級 | 2回 (10点) | 330cm (10点) | 20m (10点) |
女性の場合
斜懸垂 | 走り幅とび | ボール投げ | |
---|---|---|---|
6級 | 12回 (20点) | 245cm (20点) | 16m (20点) |
7級 | 10回 (10点) | 215cm (10点) | 11m (10点) |
海上自衛隊における体育実施基準について(通達)(海幕教1第1947号。49.4.23)による。
お、こっちもこんなもんか……。
ボクの頃は今みたいな総合得点方式じゃなかったからさ。走り幅跳びがなかなか基準に達しなかったから、ずっと級外だったんだよね~。
今の子たちは随分楽になったと思うよ。
先パイ、そういうの老害発言ですよ……。
うっ、そうですか……。
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水泳能力測定
水泳能力測定は「自由形」と「平泳ぎ」の2種目。
プールで50mを泳ぐ時間を測定するよ。自由形は平泳ぎ以外は何でもオーケー。とは言ってもクロールの人がほとんどだね。
やっぱり海上自衛隊だと泳ぎは大事なんですかね。
そうだね、もっとも速く泳ぐのは目的にしていないのに、なんでスピードを求めるのか、本当に謎なんだけどね!!!
5 実施
海上自衛隊における体育実施基準について(通達)(海幕教1第1947号。49.4.23)
(1)(2)省略
(3)実施計画
ア~エ 省略
オ 水泳は、長時間滞水を目標に各種泳法等及び水上安法を適宜組み合わせ、機会をとらえて積極的に行う。
カ 省略
そりゃあ、長時間滞水の能力を測定しようと思ったら、数時間プールに入れっぱなしにしないといけなくなるからじゃないですか……。
水泳能力測定も年齢と性別によって等級の付け方が変わるよ。
6級の基準タイムは、
29歳までの男性は、自由形 50秒未満、平泳ぎ 54秒未満
29歳までの女性は、自由形 57秒未満、平泳ぎ 64秒未満
どちらかが基準を満たしていれば、6級になるよ。
おお、こっちは結構厳しいですね。
でしょ?一般社会ではこんなに速く泳ぐ人、そうそういないよ……。
本当にどうかしてるよ!
まぁ、私は40秒くらいで泳げますが……。
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トレーニングのやり方
さて、入隊まで3か月に迫った今、身体作りをするにはあまりにも時間が少ない。そこで、効率的にトレーニングをしていかないといけない。
いや、もう既に余裕でクリアできそうなんですが……。
筋トレと有酸素運動
まず、トレーニングをする上で意識すべきは、何を目的にその運動をするのか。
運動にはいろんな種類があるけど、誤解を恐れずに断言するなら、ほとんどの運動は「筋トレ」と「有酸素運動」に分類できる。
また、随分思い切りましたね……。
筋トレは、筋肉に負荷を掛ける運動で、筋力の強化や筋繊維の肥大化を目的にしているんだ。
腕立て伏せとか、ダンベル運動とかですね。
うん。そうだね。
筋トレの重要なポイントは、適度な負荷を掛けること。筋肉は軽い負荷が繰り返し加わっても、強くならないからね。今の筋肉ではちょっとキツいくらいの負荷が加わることで、筋繊維が傷ついて、その修復過程で筋肉が強化されるんだ。
対する有酸素運動は、長時間継続して行う運動。
好気呼吸が行われる程度の負荷で、とか色々定義はあるけど、筋トレとの違いは負荷の大きさを追求するんではなくて、長時間継続するのがポイントであること。
ジョギングとか水泳とかですね。
ボクからしてみれば、水泳も立派な無酸素運動なんだけどな……。
有酸素運動って、脂肪燃焼のためにやる運動ですよね?体力を増強しようと思ったら、やらなくてもいいんじゃないですか?
確かに、有酸素運動は脂肪燃焼のために用いられることが多いね。加えて、脂肪燃焼の時にあわせて筋繊維も分解されてしまうから、ボディビルダーの人なんかは有酸素運動はすべきでないって人も多い。
でも、重要な観点が抜けてるんだ。
なんです?
有酸素運動は、心筋や呼吸筋を鍛えられる、数少ない筋トレになるってこと。
ボクもいっとき、有酸素運動不要論にかぶれて、筋トレしかしなかった時期があったんだけど、実際やらなくなると、恐ろしく息切れするようになる。筋トレすると体重も増加していくしね。昔は3000m走をやると脚が痛くなってスピードを出せなくなっていたのに、この頃は息が切れてスピードを出せなくなった。
なるほど、結局どっちもやらないといけないってことですか。
そうだね。どっちかだけというのは避けた方がいいね。
筋力は全ての基礎だし、有酸素運動を継続するためにも筋力は必要だから、やっぱり筋トレが中心にして、追加トレーニングとして有酸素運動をするべきだね。
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トレーニングは「運動能力測定I」の種目を重点的に!
具体的にやる種目としてオススメなのは、腕立て・腹筋・ランニングだよ。
「運動能力測定I」の種目ですか。
うん。運動能力測定Iの種目の特徴は、トレーニングすればしただけ効果が出るところなんだ。最初は腕立ても腹筋も出来なくても、自主トレを重ねていけば伸びるよ。もちろん、良いやり方というのはあるけど、型どおりにやらなくても、それなりに結果が出るんだ。
それに、腕立て・腹筋と筋トレにあたるものと、3000m走のように有酸素運動にあたるものがバランス良く含まれているし、体幹の筋肉を鍛える面が大きいから、回数をこなすだけで総合的な体力が増強されていくというのも良いポイントだね。
普段運動の習慣が無い人がこれからトレーニングを始めるって時は、ひとまず運動能力測定Iの3種目をやるだけで十分!
確かに、水泳やボール投げは体力以上にフォームが要求されるところありますもんね。
で、ボクらみたいな低体力者は、出だしなかなか回数が稼げなくて、運動が続かないと思う。
完全に決め付けてますなぁ……。
そういう、運動の習慣の無い人がトレーニングを始める時は、小さな負荷でいいから回数をこなすのが大事だよ。筋トレは負荷が大事だと言ったけど、筋力の無い人は負荷を減らしても十分なくらいの負荷が掛かるから。
腕立て伏せの場合は、膝を地面に付けた状態で回数をこなすといいね。
普通のやり方でやって限界に達したところで、膝を地面に付けてまた限界に達するまで回数をこなすのがベストと言われているよ。
オールアウトってヤツですね。
これをやると1~2日くらい、腕も胸も痛くて生活に支障が出るレベルになるけど、筋肉痛が治まることには間違いなく筋力が強くなっているし、大胸筋が肥大化していくよ。
腹筋運動の場合、仰向けになったまま、上体を起こすんではなくて、脚を浮かせてキープするのがいいよ。これなら回数ではなくて時間で成績が伸びていくから、回数こなせない人でも徐々に伸びていくのが分かるね。
足上げ腹筋ってヤツですね。
あとは、腕立て伏せの準備姿勢をとったままキープ。自衛隊では「前支え」と呼んでいるよ。
プランクですね。
これは腕立てにも腹筋にも効果があるよ。
実際、やってみるとよく分かるんだけど、2分間やるとなると腕立てでも腕より先に真っ直ぐな姿勢を維持する体幹の筋肉の方がダメになるんだよね。前支えの姿勢のまま3分、5分と維持できれば、そこで悩まされることもなくなるんだ。
そうか、2分間の計測の間は姿勢を乱してはいけないんですね……。
で、最後は3000m走。これはあんまり距離にこだわらずに、無理のないスピードで30分か1時間くらい走ればいいよ。でも、どうしても走るのが辛いって場合は、会話するのが少し苦しくなるくらい、息切れするかしないかのスピードで早歩きするのが良いね。
ボクは入隊前、ジムに通ってたんだけど、ランニングマシンでずっと走り続けるのがどうにも虚無で辛かったから、1時間ドラマを見ながら早歩きしてたよ。
走ればいいのに……。
走ると頭が上下して画面が見づらいし、衝撃音がイヤホンに入って台詞が聞き取りづらくなるんだよね。だから、5km/hくらいの速いスピードで1時間歩き続けるようにしていたよ。
本末転倒だ……。
運動習慣の無い人にしてみると、このくらいの軽い運動でも、脚の筋トレになるから、なかなか悪くないよ。
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運動能力測定IIは、やらないのもアリ。
運動能力測定IIの対策はどうするんですか?
これね……。正直言って、ボクはやらないのもアリだと思う。
えぇ……。
まず、IIの悪いところを挙げると、Iに比べると技術を要求される面が強いことなんだ。それに、幼い頃の運動習慣に左右されるところも多分にあって、入隊してからちょっとやそっとトレーニングしても、全く伸びない人も珍しくない。
まぁ、なんとなく分かります。
ボール投げなんて、本当に人それぞれで、小さい頃から野球をやってた子なんて70~80mを軽々投げるんだけど、キャッチボールなんてやったことのない子は、まず真っ直ぐボールを投げられないんだよね。
本人は至って真面目に投げてるつもりなんだけど、スカッと力が抜けて、斜め60°にボールが飛んでいく。ボクの同期にもいたけど、1年間ボール投げの練習をひたすらやり続けて、辛うじて真っ直ぐ投げられるようになってたよ。それでも基準に達しなかったけど。
ですねぇ。懸垂もどっちかというと、広背筋をしっかり使う回路が出来ているかの勝負ですね。
というわけで、自己流でトレーニングしてもほとんど伸びないからね。そんなことに割く時間があったら、「運動能力測定I」のトレーニングをしっかりやった方がいいと思う。
あと、特にボール投げと走り幅跳びは怪我が頻発する種目だからね。
それに使う筋肉を鍛えておくのは良いけど、個人で実技をやるのは避けた方がいいと思うよ。
なるほど。
でも、ひとつだけ効果のあるトレーニングを挙げるなら、つま先立ち、要は背伸びだね。
カーフレイズですか。
そうそう。大きなジムに行くと、負荷を大きくするためのマシンがあったりするけど、自重だけでも結構イケるよ。
やり方は簡単で、その場でゆっくりとつま先立ちして数秒間キープ、その後ゆっくり戻して、もう一回つま先立ちってのをくり返すだけ。
これをやると、ふくらはぎにあるヒラメ筋や腓腹筋が鍛えられて、短距離走の跳躍力が伸びるんだ。走り幅跳びは助走の時の横方向の移動力と、跳躍の時の縦方向に地面を蹴る力で距離が決まるから、ふくらはぎの筋肉を鍛えておくのは効果的だよ。
このトレーニングは何と言ってもどこでも出来るのがポイントだね。家で歯磨きしてるときとか、駅で電車待ちしているときとか。ちょっとした時間でできるよ。
外でビョンビョン背伸びするのはちょっと恥ずかしいですね……。
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水泳能力測定
水泳の対策はあるんですか?
あるんだったら、ボクに教えてほしい。
あっ……。
というのは冗談として、日常的にプールを使える環境があるなら、プールに通って泳いでも良いと思う。
ただ、水泳能力の低い人って、フォームが汚いのに加えて、根本的に筋力が不足していることが多いから、無駄に泳ぐより、まず筋トレをしっかりやった方がいい気がする。
水泳は運動強度の割に、体力をゴリゴリ削る種目だからね。大会に出る選手レベルの泳ぎ方なら、ただ泳ぐだけでとんでもないトレーニング効果があるのかもしれないけど。あんまり運動したことない人がやっても、「やった感」はあるかもしれないけど、筋力はそれほどは伸びないと思うよ。
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避けよう!空腹時の運動
まぁ、そうは言っても、とりあえず身体を動かせばそれだけでも立派な第一歩だとは思うんだよね。普段運動してない人からしてみれば、10分小走りするだけでも、立派な運動だから。
そ、そうですね……。
でも、気をつけないといけないことがあるよ。
それは、空腹時の運動を避けること。
あー、筋肉が分解されるからですね。
そう、よく知っているね。
運動するとき、まずエネルギー源にされるのは血中の糖なんだけど、空腹時つまり低血糖状態だと、筋肉や体脂肪を分解して糖を合成(糖新生)することでエネルギー源にするんだ。で、よろしくないことに筋肉の方が分解されやすいと言われているんだね。
なので、低血糖状態で運動すると筋肉がどんどん分解されて、運動しているのに筋力が弱っていくんですね。
そうそう。
あんまり強度の高い運動をしていないのに筋肉痛になるし、それもなかなか治らず、治っても筋肥大が起きない。こうなると筋トレも出来なくなるし、脂肪だけが残ってどんどん代謝の悪い身体になってしまうんだ。
これを防ごうと思ったら、まず運動の前に糖質を取っておくことが重要だよ。一般に、食事の3時間後くらいが一番運動に向いていると言われているけど、時間が上手く合わないときはゼリー飲料でもいいから多少糖質を取って血糖値を上げておいた方がいいんだ。
で、運動の後はすぐにプロテインですね。
うん。そうだね。
必ずしもプロテインである必要はないけど、何かしらの形でアミノ酸やタンパク質を摂取するといいね。ボクは中学野球部でトレーニングの後は、きなこと牛乳を混ぜて飲んでたよ。プロテインは高いからって。
ボンボン校のくせに、そういうところはなんかしみったれてますね。うちの学校。
まあ、トレーニングが終わってすぐに肉を食べるってわけにもいかないから、手軽に摂れるプロテインで、となるのは必然ではあるね……。
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筆者のイチオシbe LEGENDは「ダンベル何キロ持てる?」コラボ企画の「ひびきのご褒美プリン風味」!ミルクセーキのような甘味にほのかなカラメルの香りが素晴らしかったですね。廃盤になってしまったのが本当に残念です!
次点でブルーベリーやラズベリー等の「ベリベリベリー風味」。スッキリしていて飲みやすいです。
その次は「北斗の拳」コラボの「明日への種モミ風味」(コラボばっかりだな……)
味に迷ったら、色んな味が入っているお試しパックを買うのも手です!ちなみに筆者は、どれも美味しかったので次に何を買うのかで苦しむことになりました。
トレーニングの直後から、肉体は急速に筋肉の修復に取りかかるんだ。そんなとき、血中のアミノ酸濃度が高いと速やかに筋肉が修復されて、筋肉痛からの回復が早くなる。トレーニングの効率を高めることが出来るんだ。
ですねぇ~
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というわけで、体力練成についてひととおり述べたわけだけど、実際、未来はどうなの?腕立てと腹筋は何回出来る?
うーん、きちんと計ったことはありませんけど、だいたい70回くらいはイケますね……。
……は?
先パイ、なんか勘違いしてるみたいなんですけど、私、結構運動できる方なんですよ。
う、ウソだ!パソコン部のくせに!情報工学専攻のくせに!
今、とんでもない発言がありましたが、どういう趣味だろうと、やることやってる人間はいるってことですよ!
ぐぬぬ……!!何故だ!天はボクにだけ試練を課すのか……!
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